きっかけバス kikkakebus_tokyo00

Published on 4月 1st, 2014 | by アプリそうけん

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『きっかけバス東京』活動報告会レポート〜被災地を訪問した学生が、今伝えたいこと〜

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3月30日、東京都内にある公益社団法人助けあいジャパンの事務所を会場に、『きっかけバス東京チーム』の活動報告会が行われました。

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まず初めに、東京チームの共同代表を務めている、浜中広助さんから、改めて『助けあいジャパン』『きっかけバス』についての説明がありました。

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①新しい層を取り込み、東北に関わる人を増やす
②もう一度『復興旋風』を巻き起こす
③復興と防災を学び、次の大災害に備える

という3つの目的を持ってスタートしてきた『きっかけバス47プロジェクト』。

2月から3月の約1ヶ月間に、全国47都道府県から約2000人の学生が東北の被災3県を訪問し、ボランティア活動や地元の人たちとの交流を通じて、被災の現実、その後の避難生活や復興の現場を体験し、多くのことを学んできました。
各都道府県の活動状況を見ると、学生たちが実際に被災地を訪れることで得られたものが非常に多く、さらに現地の被災者の方々にもたくさんの元気を与えたことが伺えます。
(各都道府県の活動内容は、各都道府県のFacebookページや、きっかけバスのホームページでも公開されています)

浜中さんからは、きっかけバスと他のボランティアバスとの違いについてもお話がありました。
きっかけバスの特徴としては、
①被災3県全てを訪問する
②被災3県全ての人と交流する
③参加することのハードルを出来るだけ下げる
④豊富なプログラムによる学び
⑤継続的な活動

という5つが上げられました。

被災3県、それぞれ被災の状況も違いますから、それぞれの地域の方々が考えていることも違えば、復興の形も違います。『きっかけバス』でそういった違いを体験することで、この震災が本当に大きな災害であったことを再確認し、そしてそこからの復興が本当に大変なことを知ることが出来た学生たち。だからこそ、復興に時間がかかることも理解できるので、この活動を一時的なものにしてはいけない、ここでの経験や学びを、日本全国に知らせていかなければならない、という思いを強くしていると思います。

続いて、水上さんから実際の東京チームの活動行程についての説明がありました。

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東京チームは、3月2日から3月5日の日程で活動を行いました。

今回東京チームとして参加した学生の方の多くが、初めて東北を訪れたということ。
そのため、出発前には、東北に関する動画を見たり、出発してからバスの車内で行われた「チェックイン」で、なぜ『きっかけバス』に参加しようと思ったのかなどの思いを共有して被災地に向かったということです。

岩手、宮城、福島の3県を周り、ボランティア活動、フィールドワークや被災者の方のお話を通じて、改めて被災の現実を目の当たりにしたということ。

その中で印象的だったこととして水上さんが発表されたのが、陸前高田市で語り部をされている、釘子明さんの話の中で言われた、
「自分が被災するとは思っていないだろう」
という言葉。

『きっかけバス』以外でも、これまでボランティア活動で何度も被災地を訪れていた水上さんでも、この言葉には考えさせられることがあったと言います。
震災発生から3年が経過した今になると、ますますどこか他人事になっていってしまうという現実を改めて考えたということです。

またもう一つ印象深いエピソードとして、3月14日に発生した四国、中国、九州地方での地震の時の話をしてくれました。
地震が発生した時、ちょうど四国にいたという水上さん。
『きっかけバス』で被災地を訪問した直後であったにも関わらず、その時とても慌ててしまい、何も準備ができていなかったということ。
その経験から、改めて「いつ被災するかわからない」ということを考え、常に備える身近な防災の大切さを感じ、それ以降常に水や食料など、被災した際に役に立つものを持ち歩くようになった、ということです。

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続いて、参加者を代表して3名の方から、活動報告がありました。

まず最初は、高校生で今回の『きっかけバス』に参加した仁尾さんです。

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仁尾さんは、今回の『きっかけバス』に参加することで、「東北に対する意識と、日本に対する意識が、大きく変わった」と言います。

東北にはこれまで行ったことがなく、仁尾さん自身がこれまで多くの時間を海外で過ごされており、東日本大震災発生時も海外にいたということもあり、被災した東北のイメージが、メディアの報道などで見ていた風景のままだったということ。
しかし実際に行ってみると、お会いした方々の雰囲気は全く違っていて、“普通に”楽しい、笑い話などがたくさん出来たということに驚いたといいます。

南三陸町の「南三陸さんさん商店街」で出会った女性に、仁尾さんは「みなさんが明るくて前向きなことに驚いた」といったことをお話しすると、その方が真剣な表情で、
「前に進まなければいけない」
と言われたことがとても印象的だったということ。
それを聞いて改めて「前に進むために出来ることをやっていきたい」という思いを強くしたということです。

これまで海外での生活が長かったこともあり、日本のことはずっとあまり知らず、東日本大震災についても“他人事”のようだったという仁尾さん。
しかし今回の『きっかけバス』に参加したことでそんな自分自身についても知ることになり、これからもっと東北を知り、日本を知っていきたいと語ってくれました。

続いて、佐久間さんからの発表がありました。

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佐久間さんは、千葉県の出身で、千葉県でも太平洋沿岸の被災地域に近い所にお住まいだったということ。
しかし震災発生当時は高校生だったということもあり、あまり震災に対して何かをするということが出来なかった。
その後進学で東京に来て見ると、東北に行くことができる機会は結構あるということに気がついたものの、その時には震災発生から日数も経過していて、何をしたら良いのかが分からないという状況だった。
そんな時にこの『きっかけバス』のことを知って、すぐに参加を決めたということです。

今回被災地を訪問して、実際にご家族を亡くされたり、ご友人を亡くされた方々のお話を聞く中で、辛い思いがありながらもそれを話してくれた方々の思いを強く受け止め、今回の経験をしっかりと伝えていかなければならないと強く感じたという佐久間さん。

東京に戻ってからも、今後確実に起こるであろうと言われる首都直下型地震に対する備えがしっかり出来ているのだろうか、ということを考え、水上さんもお話しされたように、被災した時に持っていると便利なものを携帯するようにしているといいます。

佐久間さんも、陸前高田市の語り部、釘子さんのお話の中での印象的なものを紹介してくれました。
それは、
・避難所について家族と話したことがあるか
・その避難所について知っているか
・その避難所は安全なのか

ということ。

実際、東日本大震災で多くの方が逃げ込んだ避難所の中には、安全ではなかったり、しっかりとした備蓄などの設備が整っていなかった所も多かったということ。

「もし自分が被災したら」
ということを真剣に考え、そのための情報を集め、知っておくことは本当に大切であるということを佐久間さんは伝えてくれました。

そして最後に、東北が本当の意味で復興するためには、東北に住む人たちが自力で活動出来る、自立出来るようにしていかなければならない。そのために間接的に関わるということが大切なのではないか、という考えも発表されました。

そして3人目は、榊枝さん

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榊枝さんからは、東北の素晴らしさについての発表がありました。

東北の食、自然、そして人。
そのどれもが素晴らしくて、被災地や被災者支援のために活動しているのにも関わらず、たくさんの元気をもらったという榊枝さん。

東京といった都市部にいると忘れがちな、自然の美しさや、食のありがたみ、そして人の温かさといったもの、全てが素晴らしかったと振り返り、とにかく東北は素晴らしいので一度行ってみて欲しいと訴えました。

「好きになる」ということは一つ大きなキーワードでしょう。

震災からの復興には多くの方の関与が必要なのですが、そのためにはまずどんなことでも良いので好きになってもらうことが大切。
そういった素晴らしさを体験し、好きになってもらうためにも、実際に東北に行ったり、行ったことを伝えたりすることで、その熱をしっかりと伝えていくことが改めて大切だと感じさせられる、パワフルな発表でした。

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その後、この『きっかけバス』での大きな特徴でもあるプログラム、「ダイアログ」を実際に体験してもらうということで、東京チームとして参加した学生たちと、この日集まった支援者などでグループを作っての「ダイアログ体験」が行われました。

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「ダイアログ」では、参加した学生たちそれぞれから、参加したきっかけや、参加して感じたことなどが話され、イベントに参加した支援者などからの質問に答える形で、15分を1セットとして、2セット行われました。

私が参加したダイアロググループでは、「かなやんさん」「アルガさん」「さおりんさん」「れみぜさん」「ゆりさん」「テトラさん」の6名の方のお話が聞けました。

その中で印象的だったお話をいくつか。

  • 『きっかけバス』という活動に参加するという意味では、ある程度同じくらい意識を持った仲間が集まったことで、真剣に思っていることを話すことができた。
  • 現地で行ったダイアログでのテーマの一つとして「震災遺構」についてということがあった。残すべきか、なくすべきか、それぞれの意見を持って話し始めるが、もちろんどちらが正しいということがないので、他の人の意見を聞きながら、その意見を取り入れながら考え続けるという経験は日常ではなかなか出来ないことなのでとても良い経験になった。
  • 自分の家族と、もし被災したらどうするかなどについて真剣に話す機会を作ることが出来た。
  • 何度もボランティアに行っていたりしても、やはり防災に対する意識は今回の『きっかけバス』のプログラムを通じて変わった。まだまだ震災から学ぶべきことを活かしきれていない、意識し続けられていないと感じた。
  • 改めて都心部での震災についての備えについての不安や課題について意識するようになった。
  • 都心で震災が起こった時にどうするかについて、まだまだ学ぶべきことが多いと感じた。
  • 何度も被災地を訪れていたため、だんだんその状況が当たり前になっていたが、今回初めて東北を訪れるメンバーが多かったことで、改めて被災の現状について考えることが出来た。
  • 地元に戻ってみると、やはり行ったことのある自分とそうでない人との間の温度差が大きいと感じた。
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    そして最後に、東京チームのもう一人の共同代表である塚田耀太さんからまとめの挨拶がありました。

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    塚田さんから語られたのは、自身が関わってきた今回の活動や、その他の活動を通じての葛藤や悩みについて。
    高校生時代から、復興支援団体を作って運営するなど、様々な活動を展開してきたのですが、常にあったのは「自分のためになっているのか」という疑問だったといいます。

    そういった疑問に対して、一つの答えが出ては、また消えていく、ということを繰り返している最中だとは思いますが、何かをやったということは必ず何かが残っているということになるので、今回の『きっかけバス東京チーム』の活動をここまでやりきったことで、おそらくご自身の中では確かなものが残っているのでは、と感じさせる素晴らしいスピーチでした。

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    そしてその後は参加者、支援者の交流会が行われ、会場は更に盛り上がっていました!

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    今回ダイアログなどで実際にお話を聞けた参加者の方を通じて感じたのは、実際に彼らのようにこのような活動に参加したり、東北に行ったりする人と、そうでない人との温度差が大きいということ。

    これは一般社会でも同様で、毎年3月11日が近づくと報道や各種情報が多く発信され、3月11日を過ぎると一気に少なくなるということがありましたが、特に3年が経過した今年の3月11日を境にした情報の減少は今まで以上だったように感じます。

    『きっかけバス』の募金活動の取材をした際にも感じましたが、やはり多くの方に継続して関与してもらうことの難しさに直面しているのが現実です。

    今回参加した全国にいる約2000名の学生たちが、『きっかけバス』での経験を今回の報告会のような場で発表しているわけですが、その場にとどまらずに、いかに多くの人に伝えるか、関心を持ってもらえるか、ということが、やはり大きな課題だと感じました。

    学生である彼らが、今回の活動で得た経験を活かして、継続的に復興や防災、減災に対して多くの人が関与し続けられるような仕組みや活動を作っていくことが出来れば、今回の活動を寄付という形で支援している“大人”にとってもとても意味のあることになります。

    そのために大切なこととして私が考えるのは、いかに「何気なく」関与してもらえるか、だと思っています。

    「意識があるかないか」という軸で捉えられてしまっているうちは、やはり限定的なものになってしまいます。
    そうなると、一部の所に負担が集中することで、一気に歪みが生まれ、継続的な活動にはならなくなります。

    “地震国”である日本で生活している以上、いつどんな形で震災に遭遇するかは分かりません。

    釘子さんの言葉にあった通り、「自分が被災するとは思っていない」のが現実、では意味がありません。

    しかしながら、“いつか”に対して“常に”意識していく、準備しておくことが大変なことも確か。

    そういったことを考えても、社会としてしっかりとした備えをしておくためには、誰もが、常に、少しずつでも「何気なく」関わることができるような仕組みを整えることが大切だと思います。

    そういう仕組みづくりのヒント、基礎になるようなものが、この『きっかけバス』や『きっかけバス』に参加した学生たちかが生まれてくれば素晴らしいと感じました。

    東京チームの参加学生たち、そして全国から参加した学生たちの今後に、そして『きっかけバス』の今後に期待しましょう!!

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    今後も全国で報告会が予定されています。

    詳しくは『きっかけバス』のホームページをご覧いただき、お近くで開催される際には、ぜひ被災地を訪れてきた学生たちが今伝えたいことを聞いてみてください。

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    今回の『きっかけバス』は、47台全て走りきり、参加した学生たちも全員無事に地元に帰ることが出来ました。
    しかしながら、今回のプロジェクトは1回実施すれば良いというものではなく、今回の経験を活かすことはもちろんですが、これからも継続して若い人たちに『きっかけ』を与えていく、それを日本の防災、減災に活かしていくことが重要です。
    そのためには、一人でも多くの方が関心を持っていただき、関与していただくことが大切

    バスは全て走りきりましたが、まだまだ資金的には厳しいのが現実です。

    引き続き『きっかけバス』では皆様からのご支援をお願いしております。

    今回の学生たちの活動も含めて、今後この活動が活かされるかどうか、継続出来るかどうかにも関わっておりますので、ぜひ引き続きご協力をお願いします。

    ☆寄付についてはこちら☆
    http://kikkakebus.tasukeaijapan.jp/donate/

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    きっかけバスのFacebookグループでは、リアルタイムな報告なども随時アップされています。
    きっかけバス47【公開】グループ

    また、各都道府県のイベントページにも、活動の報告がアップされています。
    Facebookイベントページリスト

    実際の学生たちの活動をご覧頂き、この活動が被災地の復興に繋がるものになるように、少しでも多くの方に関心を持っていただき、支援の輪を広げるためにご協力を頂ければと思います。

    ※様々な活動については、こちらのブログでも発信中です。
     ●「きっかけバス47プロジェクト・学生運営チームのブログ」
     ●「助けあいジャパンブログ」

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    『きっかけバス47プロジェクト』公式ページ
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    『きっかけバス47プロジェクト』概要
    http://kikkakebus.tasukeaijapan.jp/about/

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