コラム TAKUYAが教えるギター・レッスン “Guitar de POP”

Published on 12月 26th, 2013 | by monsterdive

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楽器教則アプリ『TAKUYAが教えるギター・レッスン “Guitar de POP”』が出来るまで【第2回】

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こんにちは、MONSTER DIVEの清水です。
前代未聞のメジャーアーティスト本人による楽器教則アプリ!
そのリリースの裏側をご紹介していくコラム第二回、今回はアプリの機能設計について書いていきたいと思います。

 

なんでもできる ≠ 全部盛り

アプリの機能を考える上で、企画側としては安易に機能を盛り込みがちです。
「あのアプリで使われているあの機能」
「最近流行っているあのアプリっぽい機能」
そう言って複数の既成品からアイデアを拝借し、ひとつのアプリに詰め込もうとする企画会議。
ありますね。“全部盛り”の思考から良い企画が出来上がった事例は、個人的には経験がありません。

「アプリ」
このコトバが適切ではありません。
可愛らしい単語にごまかされて、デバイスで出来る様々な機能がカンタンに実装出来るような印象がありますが、アプリ制作は「アプリケーションの開発」なのです。

特にタブレット(iPad)まで対応したモバイルアプリの開発においては、技術上、出来ることは多岐に渡りますが、当然、機能要件が複雑化するほど設計も開発も工数は増大しますし、多機能であることが必ずしもユーザの満足に繋がらないことは、ソフトウェアの進化の過程で僕らが身を持って知っていますね(Excelの使い方を学校で習う時代になるなんて…)。

常にシンプルであるべきとは偉大な先人の言葉ですが、彼が造形したデバイスで動くアプリケーションでは少なくともその指針に従うことが最良なのです。

 

「スマートフォン世代のための楽器教則」にフォーカスする

前回の記事でご紹介したように、僕らは楽器教則アプリというタイトルの制作に着手しました。
音楽というジャンル特性を考慮して、まずはiOS向けのアプリ開発にフォーカスすることに。そして注力すべき機能を以下のように企画しました。
実際に出来上がった画面を交えてご紹介します。

 

“Guitar de POP” アプリ画面1

■カメラアングルの切り替え

これまでにもアングル切替が可能なDVDはありましたが、よりシームレスにいろんな角度から演奏を見続けられる、モバイルアプリならではの機能性。
撮影にもこだわって、ギタリスト本人の目線(上部からの目線)も収録。

 

“Guitar de POP” アプリ画面2

■スロー再生

アーティスト本人が教えるから、「運指が速すぎて見えない」ことも。
シークバーで映像を行き来しながら、繰り返し何度も見られるスロー再生機能は欠かせません。

 

“Guitar de POP” アプリ画面3

■TAB譜面も収録

耳コピだけでなく、完コピしたい人のために譜面を用意。
特に既成品のJUDY AND MARYのバンドスコアでは、TAKUYAさんご本人のギター奏法は正確に記述されていない事実が発覚。そもそも「本物の譜面を作る」という作業から着手しました。

 

“Guitar de POP” アプリ画面4

■映像品質へのこだわり

教則アプリと謳っている以上、他の動画サイト等では見られない映像を、きちんとした画質でお届けしたい。そういった思いから制作されたのがHD720p品質の映像データです。

 

“Guitar de POP” アプリ画面5

■iPad対応

スマートフォンアプリというと若い世代が想定されますが、バンドブーム世代の社会人にも使って欲しいという願いから、iPadにも完全対応。インテリアと化していたギターを久しぶりに弾いてみた…ユーザのそんな声が聞けるといいな、と思いつつ。

 

以上、ご覧いただいた通り、これらは“機能”であり“コンテンツ”です。

企画段階ではより多くの機能が存在していましたが、テーマを「スマートフォン世代のための楽器教則」に据えて、機能を適量に選択していきました。
そこで重要なのは、アプリをパッケージとして見た時の印象と感想、つまりはユーザに楽しんでもらいたいコンテンツは何なのか、という視点でした。

 

そのままDVDや本で売れるものを、あえてアプリに。

ガラケーの携帯サービスの時代から、モバイルのコンテンツというと、どうしても他媒体で展開されているモノの「ダウングレード版」だったように思います。楽曲のサビ部分、数十秒だけを16和音で課金販売していた頃の名残でしょうか。ビジネスとしてはアリなのかもしれませんが、コンテンツの価値が評価に繋がり瞬時に共有される時代です。「ケータイ用だから」と手を抜けば、バレます。

ユーザにコンテンツを届けるための手法として、たまたまアプリという形態を取りたい。
他媒体の形態としても売れるものを、あえてアプリとしてリリースしたいと考えました。

■コンテンツの制作指針

  • そのまま教則DVDや教則本としても発売出来るレベルにする
  • 繰り返し何度も楽しめるものにする
  • テレビやYouTubeでは見られないものを撮る
  • 見た人が「すごかった!」とソーシャルでつぶやきたくなるネタを入れる
  • ただしレガシーな制作手法にこだわらずにWeb的な発想で効率的・効果的に作る

こうして挙げてみると何てことはないですね。
良質なコンテンツは、そのままプロモーションになるという期待です。

「作ってみた」程度では出来ない教則映像を制作するために、レコーディングエンジニアには数多くのメジャーアーティストを手がける檜谷俊六氏、カリキュラム監修には「世界最大のオンライン・ギター・レッスン」ギネス記録を持つ加茂フミヨシ氏を迎え、TAKUYAさんが通常の楽曲レコーディングやライブで使用されているものと同じ機材を、レコーディング専用のスタジオに準備。
また、一般的に教則モノは何度も撮り直した映像を切り貼りして作られることが多いところ、各楽曲の演奏はすべてノーカット無編集。

「アプリを作る」というより「作品を作る」意気込みで制作されたiPhone/iPadアプリ『TAKUYAが教えるギター・レッスン “Guitar de POP”』は、リリースされた翌日にはApp Storeの有料アプリ/ミュージック部門でトップセールス1位を記録、Twitterでも多くの有り難いツイートをいただきました。そしてニコニコ動画でも…!!

 

次回は、「プロの犯行」とネット視聴者に評価いただいたニコニコ動画を使ったプロモーションなど、このアプリのリリースプロモーション展開についてお話しさせていただこうと思います。

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About the Author

monsterdive

東京都港区。クリエイティブ&テクノロジーを追求するオタク+職人集団によるプロダクション・カンパニー。プロモーションを軸としたウェブサイト制作やシステム開発、モバイルアプリ開発、映像製作、ライブ中継、USTREAM STUDIO+の運営などを行っています。





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