Published on 3月 5th, 2015 | by nkuwashima
経費精算アプリ「Staple」を生み出した男・星川高志氏がスゴい(第三回)
第二回のインタビューはこちら
経費精算アプリ「Staple」を開発した
クラウドキャスト株式会社の星川代表取締役へのインタビュー第三回
「Staple」の開発秘話や競合アプリなどを語っていただきました
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競合は紙とエクセル。価格帯や製品レベルを考えると、アプリでの競合はいない
フジタ:
『Staple』開発で苦労した点を教えてください。
星川氏:
「Staple」は業務アプリなんですが、まず個人に使ってもらいたいので
UI/UXにこだわったんですね。
スマホ登場以前、一般的な経費精算システムといえばWebベースがほとんどでした。
それらのサービスがスマホ登場以後、スマホ対応する際なんかにはブラウザでの最適化のみを
行なっていることが非常に多いのです。
開発としては最小限コストで済みますが、UX的には良くありません。
我々は使い心地を重視し、ネイティブアプリにこだわっています。
オフラインで入力していったときでもクラウド側に入っていって同期することができます。
『Evernote』『Dropbox』でも使っているような仕組みです。そういった「ユーザーにとっての使いやすさ」を
作り込むことが、技術的には難しい部分でした。
それと、従来からの会計システムに経費計算システムをアドインした
製品が多いのに対して、我々は経費精算に特化したシステムとしています。
僕たちも以前はそのような切り口でやっていたのですが、
やはりアプリの操作がどうしても複雑になってしまうんですね。
インターフェイスがゴチャゴチャするのを防ぐために、
切り離して開発しました。シンプルにすることで一番メリットを受けているのは、
ユーザーですね。はじめて使用されるユーザーでも、操作についてほとんど迷わなくなりました。
もちろん僕らも最初から答えがあったわけではありません。
最初に出した製品のフィードバックをいろいろと受けながら、
現在の最適なものにたどり着きました。
経費精算システムで僕が持っていたビジョンは、
コンシューマー向けのUI/UXを目指すことです。
プロダクティビティを上げることはもちろん行います。
シンプルな仕組みで作っていくのですが、そこにデザインや楽しさを作りこむことができるのが
僕らの付加価値です。業務アプリにない切り口を作っていけます。
洗練されたUI/UXなど、コンシューマー向けの良さを、業務系アプリに加えていく。
今、スマートフォンが業務活用にすごい勢いで入ってきています。
そうなるとビジネスコンシューマーの市場が一気に拡がります。
まさにこれからです。
フジタ:
「Staple」の競合とみているアプリ・サービスは?
星川氏:
そうですね、一番意識しているのは紙とエクセルですね。
スモールビジネスだと紙とエクセルが90%以上となります。
そこに「Staple」を導入してもらい置き換えてもらう。
紙とエクセルだと安いし、すでに既存で入っているので
エクストラコストが掛かりません。
ただし、自体験として、スタッフが5名を超えるころから、承認フローや管理が非常に煩雑になります。
あまり高いものだとリプレースできないのでかなり金額を抑えています。
もう少し費用が高いところはある意味レッドオーシャンなので、もう少し時間をかけてやります。
有名どころだと最近SAPに買収されたアメリカのConcur(コンカー)などがいます。
5年以上前から10社ぐらいが競っている世界ですね。
そこに市場があるからマネタイズができている証拠なんですよね。
経費精算で承認フローなどが必要なときは、企業にも「Staple」を販売していきます。
市場を見ると、経費精算ソフトやシステムは費用が高いものが多い。
今ある製品だと月額3万円で初期費用5万円とか。
私たちのアプリはそういった製品と比較して導入コストが低いのはもちろん、
導入までの時間も短縮できる。そのようなアプリは、今までありませんでした。
スモールビジネスでも経費精算のプロセスは存在します。
存在するのですが、そこにマッチした適正な価格の経費精算ソフトがないのです。
クラウドキャストが狙う市場がそこです。
弥生の持つ「スモールビジネスの圧倒的に強いチャネル」をうまく活用して、
ここに入っていきます。まずはスモールビジネスを完璧に押さえていくことですね。
もう一つ、「プロジェクト単位でも使える」という切り口は「Staple」独自のものであり、
他のサービスは持っていません。そこの攻め方を今後考えて攻めていこうと思っています。
フジタ:
スモールビジネスを完璧に押さえていくのもありですね。
今小さい企業が、今後それなりに成長すると考えると新しい市場がそれなりに大きくなっていくので、
既存の中堅企業を狙わずに成長を待つというのもひとつですね。
星川氏:
そうですね。
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第三回の連載インタビューはここまで。
次回では、Stapleの今後についてもお聞きしています。
→第四回のインタビューはこちら