Published on 12月 7th, 2013 | by 加藤 康祐
i震度 – コンパクト・スマート・シティとマイクロ・センシング
以下、kosukekato.comよりの転載記事です。
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i震度というアプリが出ました。この話、よっぽどユレッジに書こうかなあと思ったのですが、まあ僕が書いてもなあ、という気もしたので、自分のブログに書きます。i震度は名前の通り、iPhoneで利用できる震度計測アプリです。写真のように平置きにして、iPhoneの加速度センサーを利用しながら、震度がグラフィカルに表示されるというもの。アプリの正確とは裏腹になかなかお洒落ルックスです。
最初手持ちで振ってみて、いつまでも震度5とかのままでおかしい!と問い合わせたら、「加藤さんが、落ち着きがなさ過ぎです」と叱られてしまいましたorz。ただ、本来は平置きで使うもので、僕もコーヒーテーブルにi震度を平置きにして、どれくらい揺するとどれくらいの震度になるのかというのを少し試してみました(あ、iPhone壊したくない人は固定した方が良いかもw)。
小学生の時に、「震度体験バス」みたいなのに乗ったことがある気がしますが、手元でそういうの体験できるのは良いですし、防災のためのワークショップでも有用なツールになりそうですね。
さて、このi震度、日常的に使うアプリじゃないじゃん!と思った方、ご最も。ただ、このアプリすごい面白くてですね。以前、ET Luv.Lab.で防災科学技術研究所の東宏樹さんにインタビューした時の話。
【東】うち(防災科学技術研究所)で管理している地震系で約2,000点。気象庁と自治体ごとに設置している地震計、もろもろあわせて公的なものは約4,000点くらいですね。その数が今後増えることは多分ないだろうと。
【加藤】もう十分カバーできている?
【東】いや、予算の都合上。
【加藤】そういうことか。
【東】設置にも費用が1点あたり1,000万円くらいかかりますし、それを維持するにもものすごいコストがかかっているんです。
つまり1台1,000万円くらいかかって、別途メンテナンスコストもかかるんです。翻って例えばiPod Touchにi震度をインストールして使えば。。。これはかなり興味深い試みだということがわかるのではないかなあと思います。勿論、1,000万円の震度計は、それ相応の精度があると思うのですが、その上で、こう言ったマイクロ・センシングが活用できれば、防災のための新たなシステムも生まれ得そうですよね。例えば、先だってISHINOMAKI 2.0の小泉さんに寄稿していただいた内容。
こう言った「顔が見える小さな単位の集合がつくる、地震防災のシステム」と、そのサイズ感に合わせたマイクロ・センシングのツールの組み合わせが、新しい防災の枠組み、というか網目を生み出す可能性はありそうです。この辺を踏まえてか、i震度アプリには、指定値以上の震度感知時の写真撮影機能や、Cloud連携機能が用意されています。この辺がこのアプリの利用法の将来像を想像させます。
また、フリービットが唐津でコンパクト・スマート・シティという取り組みをしているそうです。
唐津市とフリービット、コンパクトスマートシティサービスにおける実証事業で合意
地域MVNOと光ファイバーを利用したセンサーとクラウド、ビッグデータ解析技術による高齢者向け安心見守り・デジタルトリアージシステムサービスと、市民向け低価格スマートフォンサービス事業
これ、よく読むと「唐津スマホサービスを、不測の事態にも対応する災害対策システム=DR(Disaster Recovery)システムとしても活用します」とあって、網の目に「キャッチとリリース」の両方を張り巡らせるために、こう言ったマイクロ・センシング・デバイスを、公共スペースや、地域の核になる場所に配置して、DRシステムと連携させる、みたいなことの可能性もある気がします。
フリービットはユビキタス・ネットワーキングの会社(のはず)で、個人的にも「箱物に縛られないスマート・シティ」みたいなことって、面白いんじゃないかなあと思ってます。これからの時代に馴染みやすいやり方なんじゃないかな。フリービットのUXデザインのコンセプトは「LESS」ですし。
というわけで、このアプリがリリースされたこと自体が、僕にとっては大分面白い試みだなあと思っています。開発した現場の熱気が、ちゃんと未来に続いていくと良いですね。