Published on 7月 19th, 2014 | by 加藤 康祐
テレビのあのファッションが欲しい!「コレカウ」はテレビショッピングを革命するか?
個人的には家にテレビがないこともあり、当初あまり刺さらなかったのですが、コレカウというアプリ、これはなかなか面白いのではないかと思いました。テレビで観ている女優さんなどが身につけているファッション・アイテムを購入できるようにするアプリ及びサービスです。
とは言え、例えば、名産品や美容品、などはテレビで紹介されるやいなや、ネットショップで商品が売り切れる、ということはよく聞く反面、ファッションの世界だとそれってなかなか起きづらいですよね。いわゆるテレビショッピング、はあるものの、あのドラマで、あの女優さんが身につけていたファッション、というのは、雑誌などのメディアで後追いで紹介されて火がつくことはあると思うのですが、テレビ側からそういう導線は基本的にはないわけです(APIみたいなものがあったらそれはそれですごいことになりそうな気がしますが)。
という時に、このコレカウが面白いポイントは、まず番組情報を動画認識技術でリアルタイムにスマホをテレビにかざすことで入力できる。そこから、欲しいものをどこのブランドのどんな商品が「リクエスト」が送れる。
そう、リクエスト、なんですよね。リアルタイムにどこのブランドのどこのファッションか蓄積しているようなデータベースは今のところないわけです。例えばShazamのような音楽アプリは、音声認識技術を活用して、リアルタイムにデータベースと照合しつつ、上手にECへ誘導してすることによって、リアルの空間からネットでのコンバージョンへの道のりを短縮していますが、今回のケースではそれはなかなか行うことが難しそう。
そこで、コレカウはそのファッションアイテムの正体を探るために、それをCGM的なコンテンツとしてWebサービス化しています。答えを持っている人はそれに答えることができるし、衣装協力元に問い合せて、アイテムを確認することもできるでしょう。ただここにあるバッファはある意味、現在の状況(つまりテレビに出ているファッションアイテムをリアルタイムに確認できる術はない、ということを前提にした時に)不可避であるということと、この部分をエンターテインメント性や、UXの設計で補えていれば、メディア掲載を待つ、よりは随分能動的にユーザが購買にアプローチし得る導線ができる、ということになります。
ところで、このアプリのインターフェイス、何かのサービスに似ていますよね。そうPinterestに似ています。最近ではPinterest Japanも設立されたとニュースを見ましたが、Pinterestのビジネス的な価値は、ユーザの能動的な発見が、ECのコンバージョンに繋がる、というところにあります。Etsyとの親和性の高さは大分前に話題になりました。
ただ、日本のマーケットを鑑みると、そのフックとして、テレビ、というのは影響力を持っているのではないかと思います。ですから、テレビからのクリッピングがPinterest風にサービスに並ぶ、ただ、テレビはクリッピングしづらいものだった、という時に動画認識技術によって、ある程度情報をクリッピングできる形に加工して、ECに誘導していく、というのは面白い試みではないかと思います。
このエコシステム、アプリが普及して、ユーザの啓蒙が進めば、最初にアテンションを取る部分、つまり多くの場合、広告になるわけですが、そこがテレビの放映そのものになるわけですから、機能すればなかなか面白い枠組みではないかと思いました。不自由があるところを、テクノロジーでどこまで繋ぎ込めるか、それで足りないところをプラットフォームでどれだけ補完できるか、これからの動向に興味アリです。もしかしたら、「テレビショッピング」という言葉の意味が変わるかも?