Published on 3月 12th, 2013 | by Takehiko
【東京イベント百景ダイジェスト】イベントマーケティングカンファレンスに学ぶイベント成功術!
初めまして、皆様。關 剛彦(セキ タケヒコ)と申します。
この度、アプリそうけんにて記事を書かせて戴くことになりました。
自分はイベント関連の記事が中心になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
さて今回は、2013年3月7日に開催された『イベントマーケティングカンファレンス』に
ついてです。
イベントの副タイトルに「ソーシャル・スマホ時代のイベントのあり方とは?イベント
主催者、気鋭ベンチャーらを招いて本音ディスカッション!!」とあり自分も興味津々
でした。(笑)
それでは、イベントの内容について紹介します。内容は、かなり盛りだくさんでした!
まず、第1部『tixeeが創るイベントの未来』と題して松田晋之介 (LiveStyles株式会社
代表取締役CEO)さんの講演がありましたのでご紹介します。
▼tixee | スマートフォン・チケット (ティクシー)
https://tixee.tv/
このティクシーと他のオンラインチケッティングサービスとの違い等も含めて松田さんは
次のポイントを挙げられていました。
・チケットのプラットフォーム(流通)は進化を迎えた。
1st Stage:店舗に行ってチケットを買う
2nd Stage:PCを使って購入する
3rd Stage:スマートフォンを使って購入する ←Tixeeはココ
・Tixeeはスマートフォンに特化したサービスにする。
・スマートフォン内でチケット探せて、購入できる。そしてそれを友達に知らせる事が
出来る。
・イベントを「検索」する時代は終わった。どういう風に「出会うか」の時代になって
きた。それがソーシャルで可能になってきた。
・入場管理にQRコードも考えたが、それではスムースな入場にならなかった。なので
『電子もぎり(スワイプ)』を考案した。
(主催者QRコード用リーダーを用意すること等も不要)
次に「Tixeeが何を市場に提案したいのか?」については次のように述べられていました。
・例えば音楽産業ではCDは売れていない。ではLiveはどうか?プレイガイドなどで販売さ
れている音楽Liveの完売は5%しかない。つまり95%のLiveは未完売なのが現状。
・今の30代、40代は「以前行ったことがあるイベント」でイベントで知る。しかし、今の
10代や20代は「友人・知人が行くイベント」でイベントを知る。
(イベントの認知経路も変わってきた。)
・もぎった時に出る画像はイベント時まで分からないので、偽造チケット作るのは困難。
・Mr.Childrenのイベントでは約20万人規模でTixeeを使って貰えた。今度はワーナーマイ
カルでも使って貰う予定。
・将来的には、未来行動データベース。『チケットの購入=イベントの集客数と年齢/性
別/出身/趣味趣向』が分かるため、イベント前にカフェに行くためのクーポンやイベ
ント終了後のラーメン屋のクーポンなどを提供することが可能だ。イベントを中心とし
た他業種との相互送客が実現する。
・Tixeeはイベントとスマートフォンさえあれば、世界中どこでも行えるサービスにしていく。
続けて、第2部 パネルディスカッション『新時代のイベントマーケティング』と題して以
下ゲストを招いてのディスカッションが行われました。
★パネリスト:
中村伊知哉 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
石川 篤 (株式会社ディスクガレージ 常務取締役)
両角 将太 (株式会社サムライインキュベート 広報・企画)
佐藤 史章 (トーマツベンチャーサポート 事業開発部)
松田晋之介 (LiveStyles株式会社 代表取締役CEO)
★モデレーター:
イケダハヤト (プロブロガー/ITジャーナリスト)
【Question1:成功したイベント事例 失敗したイベント事例 イベントを上手く運営集
客するコツは?】というのがディスカッション1つめのお題でした。
両角さん:最初の頃のイベントは失敗ばかりだった。10万円のギャラなのに8人しか集ま
らないこともあった。成功かどうかのポイントは参加者が満足しているかどう
か?だと思う。問題解決・課題解決型のイベントでは特にそう感じる。
佐藤さん:大きなイベントであれば、集客がどれだけできたか?がポイント。小さいイベ
ントの場合は、もう一度この人達とイベントをやりたいと思ってもらえるか?
イベント後に皆で飲みに行けるか?どうかもポイントだと思う。
失敗したのは、小さいイベントで飲みに行けなかったこと。
集客でのポイントとしては、定型文を作って、冒頭に●●さんへという風に書
いて、その人に向けた直接のメッセージだと意識させる。
松田さん:学生時代、イベント駆け出しの頃は、凄いDJ呼んでも全然お客が入らなかった。
成功したイベントは「みんなと一丸になれたか?」だと思う。特に小規模イベ
ントの場合は。アメリカでイベントが出来て、日本では上手くいかない理由と
して、アメリカは競合が沢山いるので、結果さえ出していれば、会場費もタダ。
入場料を100%貰える。お酒の売り上げの数十パー貰えたという所が大きい。
Tixee内のイベントでの成功のポイントは最初の1週間の初動のアクション、最
初のしかけによる所が大きい。最初の1週間でどれだけバズらせるか?が実は
凄く大切。この初動のクオリティ&数次第で成功に結びつけられるかどうかは、
キャンプファイヤーでも、同様だと聞いている。
▼CAMPFIRE(キャンプファイヤー)- クラウドファンディング
http://camp-fire.jp/
石川さん:成功・失敗というのは雇われの身としては言いづらいですけど。(笑)
成功するイベントというのは、何をもってして成功か?ということを分かって
いる人が多いイベントだと思う。音楽Liveの場合、お客様の満足、そして自分達
のステップアップが実感出来ることだと思う。ただ、それが身の丈に合わない
失敗も多い。1000人の集客できるのに、2000人の箱を借りてしまう場合など。
その辺の設定の仕方を、どこまでできるか?が大切だと思う。場合によっては
ステイしなければ行けない場合もある。
この前、根元要(スターダスト・レビュー)さんも言っていたけど、「事務所
からクビって言われても、お前らが考えて、ステージに上がる方策を考えろよ。
クビって言われても、音楽活動まで辞める必要はないだろう。」って。
成功のためのショートカットルートはない。来てほしい、届けたい人に、どう
いう形で、どういうテイストで届けるかが大切。
実は、氷室京介さんと一青窈さんのファンのプロファイルはデータだけ見ると
一緒。年齢も性別もほぼ一緒。けれども、Live会場に行くと分かる。片やタンク
トップでガンガンだけど、片や大人しく聴く人たち。これは会場に直接行かな
いと分からないんですよ。温度感の違いというのは。こういう所を見ないでデータ
だけ見て同じプロモーションを行おうとするとコケます。(笑)
中村さん:自分もメルマガやFaceBookを使って総動員してイベントの集客しますよ。デジ
タルサイネージのイベントでは業界誌や業界のサイトに載せたりします。
でも子どものワークショップコレクションのイベントなどでは、ツイートや
FaceBookでは全然刺さらない。それよりも、学校にビラをいかに貼らせて貰う
とか、「このイベントに小さい時に来ておかないと慶応に入れないよ~」なん
てクチコミをながしたりすることが大切。
また、ホリエモンを授業に呼ぼうとした時に、リスクを考えないので呼ぼうと
して大変だった事を思い出します。
一番大切なことは「イベントを舐めるな!」ということ。10万人相手のイベン
トも3人のホームパーティーも、やることは一緒で大変さも一緒でしょ。企画か
ら告知からセッティングからシナリオ作りから撤収まで全く一緒なのだから。
【Question2:イベントを運営する際、参加する際に困っていることは?】について
中村さん:お金の問題。もっとマイクロで、どうやってまわすか?オンライン・チケッティ
ング等の課金モデルと、スポンサーを付けての広告料を取るモデル、Liveの
グッズ・物販等で儲けるモデルのポートフォリオをどう描くかが困っている。
石川さん:チケット売る・コンサートをやるという観点からだと、チケットを買ったけど
お金を入れてくれない「キャンセルの問題」があります。「ダフ屋問題」もあ
りますよね。BtoBの問題としては、会場の問題がある。大きい会場ほど、予約
を押さえるのは難しい。しかしギター1本でLiveハウス以下の小さな会場でやる
には、会場の情報がないんですよね。
佐藤さん:僕は47都道府県で話をしたいのですが、各県でベンチャーサミットを開いてい
ます。それについてどういう人を呼ぶか?どういう形で告知をしようか?とい
う点で各地のリーダーと調整する事をしている。しかし、そんな中で一番大変
なのは社内調整だったりする。トーマツの全国41カ所の所長と折衝をつけるこ
とは大変だった。下から説得ではなく、上の人を押さえてイベントをさせても
らうことが重要。でも、ココが大変なんです。
両角さん:イベントの企画&運営を1人でやっているので、イベントの企画や運営を共有で
きる、一緒にできるものがあれば良いなあ~。
集客はTwitterとFaceBookで行っている。そこでも刺さるキーワードやタイトル
を盛り込むようにしているのだけど、大切だと実感しています。
松田さん:人材紹介サービス、スポンサーマッチングサービスについては、アメリカでは
「Sponsor Hub」というサービスがあります。会場とアーティストをマッチング
させるものとして日本でも「軒先ドットコム」と提携できないか進めています。
チケットは入場認証だけだったのが、新たなプロモーションツールになると確信
しています。
【Question3:AR、ウェアラブル、ソーシャル、ビックデータ、アプリ・・・・イベント
の未来、マーケティングはどう変わる?】について
イケダさん:イベント開催、マーケティングのあり方って10年後って、もっと変わってい
ると思うんですよ。TwitterのフォロワーやKloutスコアが高い人は、参加料
を無料にしたり、逆にお金を貰えるとかにしても良いと思うんですよ。
松田さん:Tixeeの課題としてイベント後の「終わった後のコンテンツ」をどうするかが
課題だと思う。イベント参加後のコミュニティ作りが大切だと思う。フローの
コンテンツをどうやってストック型にしていくかが課題だと思っているので、
今後その点を改善していきたい。
両角さん:今の松田さんの問いについて1つの解決方法がオンライン・サロンだと思います。
サムライも「Samurai Salon」(FaceBookグループ)をイベント後に活用してい
ます。非公開ですがサムライファンのコミュニティを作って、そこでイベント
情報を更新したり、お互いにコミュニケーションを流せるようにしています。
イケダさん:今回もKlabベンチャーズさんが、サロンを運営していたら、そこで運営でき
ますよね。
佐藤さん:こういうイベントだと1人1人と名刺交換しますよね。名刺交換の場って大規模
イベントがあると、名刺交換の場をもっと効率的にできるハズだと思うんです。
一気に名刺交換できるようなツールとか、交換した人のメールマガジンを購読
できたら、それぞれの人の属性に合わせたメルマガが配信されればいいな~。
中村さん:15年ほど前は、「これからコンテンツの時代だ。これからITの時代だ」と言わ
れていた。90年代後半の話ですね。でも、当時のコンテンツ、例えば音楽ソフ
トの売上は半分になってまった。Liveのリアルの時代になってきた。
インフォメーションテクノロジーで、テクノロジーが制すると言われていた。
15年経ったら、ソーシャルの時代になった。テクノロジーで繋がった人の時代
になっていた。
「リアルで、ライブで、かつ人が主役!」これってまだしばらく続くと思う。
人が主役で、テクノロジーがサポートしていく時代が、5年続くか10年続くか
分からないけれど、これからは日本の時代だと思う。
日本人が「ソーシャルを使いこなすユーザーのチカラ」に優れているから。
テクノラティの調査では、世界中のBlogの言語を全て足すと、英語が36%なのに
対して日本語が37%もあると分かりました。
シスコの調べではモバイルユーザーの情報発信力は世界平均の5倍でダントツ1位
なんですよ。だから「バルス!」も出てくる訳ですよ。海外が真似できないん
ですよ。アニメで、再放送で、凄くないですか?
日本は、この凄いチカラをビジネスに置き換えが未だ出来ていないんで、将来は
それを海外に持って行く位まで日本モデルを構想してみたいと思います。
という感じのカンファレンスイベントだったのですが、中村先生の話はソーシャルメディア
ウィークでも別の視点から伺っていたのですが、今回もとても勉強になりました。
自分として感じるのは、やはりこれからのソーシャルは「コミュニティの時代」なのだと思
いました。
個人の情報発信力と、イベントを通じたリアルの絆、それをどうイベント終了後に作り上
げていくのかが、イベントを主催する側にも参加する側にも問われているのだと思います。
余談ですが、松田さんは「入るを量りて出ずるを為す!」を意識されているそうです。
(これはCCC勤務時代の元上司が良く言っていたセリフだとか・・・)
そんな新しいチケッティングサービス「Tixee」は今後も要注目です!(笑)