コラム pinterest

Published on 1月 24th, 2013 | by 加藤 康祐

0

アプリと「ドールハウス」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ラグビーやってる男が、ドールハウスなどと言い出すと、なんだか気恥ずかしい感じもしますが、女の子向きだとリカちゃん人形とかシルバニアンファミリーとか(時代が古い)、男の子向きだとガンプラや鉄道模型のジオラマとかがありますね(僕やってなかったけれども)。ああいうものがなんだったかと考えると、言わば「箱庭」ということだと思うのです。

例えば、ミステリーでよくある「密室殺人」。これは世界を狭い空間に限定して、色々な要素を配置して、その中で緻密な謎解きを展開することによって、物語を成立させますよね。こういうのも言わば「箱庭」。空想がベースになるファンタジーなんかもそうですし、逆に舞台が限られている演劇などでも、しばしばこういう世界観が展開されることってありますよね。

Pinterestというサービスが話題になりました。WEBサービスですが、スマホアプリもありますね。言わば、Pinterestブームの解釈には色々意見が分かれるところだと思うのですが、僕の解釈は、あれは「ドールハウス」であり「箱庭」である、ということだったんだろうなあと思います。Boardという空間に、気に入ったものだけをPinしていく。僕はPinterestがブームになったのは、あまり虚栄心みたいな欲求とか、パーソナル・ブランディングみたいな目的が作用したのではなくて、割と蒐集趣味ってやつそのものだったんじゃないかなあと考えています。

Pinterest

photo (8)

日本ではSumallyなんかがありますね。僕はどちらかと言うとPinterestが好みなのですが、たまあに友人のSumally見たりして、面白いものないかなあと探しています。やはりデザイナーやエンジニアの友人などは欲しがるものもユニークで。

Sumally

photo (9)

逆にiPhoneケースの販売などもしているので、アプリそうけんと関係がないとも言えないのですが、Society6というサービスがあります。様々なアーティストやデザイナーがデータをSociety6にアップしていて、ユーザはそれをTシャツ、iPhoneケース、ポスター、アートプリントなどの形式で買うことができます。僕のiPhoneケースもこちらで選んだもので、同じアーティストが作成した別の作品を仕事場の壁に貼っています。圧倒的な点数から自分の好みのものを気長に探す作業は意外と楽しいものです(多分、僕が選んだ時3時間くらいサイトを見続けてました)。頻繁に海外発送も送料無料のキャンペーンやってますので、国内で買うよりは時間かかりますが、意外と安く購入できます。

society

また、少し日本でも話題になり始めたEtsyが面白い。誰でもハンドメイドの商品を手軽に購入できるマーケットプレイスで、こちらも並んでいる商品の量が圧倒的です。世界中の色々な人が、本当に色々なものを販売している。先日、Kindle Paperwhiteを買ったのですが、あまり他の人の持っているものとかぶらないのが欲しいなあと思って、Etsyで探しました。友人には「昔ながらの渋い喫茶店のソファの柄みたいなカバー」って説明しましたが、ちょっと日本では市販されていなさそうなルックスです。その代わり、作りはハンドメイド感満点ですけど。PinterestからEtsyへの導線というのはビジネス的にも結構話題になりました。

kindle

今、挙げた2つのサービスの特徴は両方ともにアプリがあるECサイトだということです。Society6のアプリは毎日違ったアーティストやデザイナーの作品をiPhoneの壁紙としてレコメンドしてくれるというもの。一方でEtsyは実際のショッピングが行えるアプリ。この辺りも実は先に挙げた、「蒐集趣味」というものとうまく結びついている気がしていて、ショッピングに関して言えば、買えるものを手元に集められるのがPinterestやSumallyだとすると、手元に集めたものを買えるのがSociety6やEtsyで、これ購買行動の「上り」と「下り」と言えるような関係性があるように思います。

Society6

photo (11)

Etsy

photo (10)

だからスマホの中に「箱庭」がある、なんて言うと、ちょっと昔だと「バーチャル」なんて言われてそうですが、今だと完全にリアルですよね。手にできるもの、買えるんだもの。


About the Author

加藤 康祐

プランナー、加藤 康祐、1980年生まれ。大学在学中の1998年よりデザイン会社にてWEBプランニングやWEBデザインを経験。2005年6月より個人事業、Experience Transportersをスタート。2012年11月、ET Incを設立。クライアントとパートナーとETが「やりたいことを、やりたいように、やり続ける」ための仕組みづくりに取り組む。





Back to Top ↑