Published on 2月 8th, 2013 | by 加藤 康祐
アプリと「フリーペーパー」
お世話になっている石巻のISHINOMAKI 2.0が発刊している、石巻VOICEというフリーペーパーがあります。石巻は元々宮城県第2の都市で、東日本大震災で甚大な被害を受けた街でもあります。僕は何度か足を運んでいるご縁で、前号から配布を少しだけお手伝いしています。
さて、この石巻VOICEですが、元々は印刷されたフリーペーパーとしての流通のみでしたが、先ごろ、マガストアで電子書籍として購入できるようになりました。
石巻VOICE VOL.0 – エリア誌 | 電子雑誌書店 マガストア
リンク先の「0号」は無料で読むことができますので、宜しければまずは是非試し読みしてみてください。
さて、なぜ、アプリそうけんの記事でこの石巻VOICEを取り上げようと思ったかと言いますと、先に書いた通り、石巻VOICEはフリーペーパーなんですが、マガストアで販売される電子書籍版は、上記の0号を除き有料なんです。売上は石巻VOICEの制作費にあてられます。
一般的に考えると、紙の本より電子書籍の方が安くなるのは当たり前。日本の電子書籍はまだまだ値引き率が紙のそれに比べて低いと言われているくらいです。
その上で、ただでさえフリーペーパーなのに、電子書籍に限り有料ということに納得性ってあるのか?
これあると思うんですよね。特に配布を手伝ってみた立場からすると。
前号は自分の知人に二部ずつ発送して一部誰かに渡してくださいという方法、今号は地元の懇意のお店などに設置してもらうって方法を取ったのですが、つまり、預かったものを読んで欲しい人に預けるという作業をしているわけですね。当然、それは僕だけじゃなく、協力していただく人にも手間がかかるわけじゃないですか。だからこそモノ自体は無料で良い。
一方で、電子書籍はいつでも誰でも手間なく手に入るわけです。だったらそこは有料でも良いかも知れない。
この構造って面白いと思うんですよね。つまり、本来的に無料であるものも、デジタル化するときにデジタル化にコストがかかるから有料ということではなくて、人に届く経緯に違う意味が発生するから有料になる、ってこともあり得るんじゃないかなと。無料だけど手軽には入手しにくいものとかを、ですね。もしかしたら、これって紙の本と電子書籍以外の関係性にもリプレイスできるかも知れない。
「評価経済」って言葉もありますが、物の価値や意味付けも、今、色々組み変わってきています。そういう中でこの石巻VOICEに学ぶところはあるのかも知れないですよね。