Published on 2月 8th, 2013 | by 加藤 康祐
アプリと「サード・ウェーブ・コーヒー」
fe.a coffeeというコーヒー豆を焙煎して販売しているお店があります。こだわりの産地からの豆を、お店で丁寧に焙煎して販売しており、僕もよくこちらでコーヒー豆を購入して隙間時間にコーヒーを家で淹れるのを楽しみにしているのですが、こちらは地域の障がいを抱える方に仕事を生み出す、という社会起業としての一面も持っています。「障がい者と共につくるコーヒー」なんです。
先日、サンフランシスコに住む友人を、fe.a coffeeに案内する時に、彼が西海岸のコーヒー豆をいくつか持参してくれました。というわけで、上記の写真のように、コーヒーのテイスティング大会が始まりました。
僕も飲むまでは、わざわざ海の向こう側で焙煎されたコーヒーを飲まずとも、と思っていたのですが、日本のそれに比べてかなり個性が強く、いわゆる一般的に「コーヒーの味」と思っているレンジから外れたものもあって、なかなか面白い経験でした。今アメリカではスターバックスなどに次ぐ、新しいコーヒーの潮流、そう言った自家焙煎のコーヒーショップ「サード・ウェーブ・コーヒー」が台頭しているんだそうです。
その友人、Box To Youというサービスを使って、茶太郎豆央というのをやっています。
このBox To Youの面白みは、モノとストーリーを通じて、「顔が見える」付き合いができることですよね。一時期、ソーシャル・コマースなどと言って、Facebookページでショッピングができます、なんてサービスもありましたが、あまりうまくいかなかった印象があります。ソーシャル・コマースって本来的に、この、モノとストーリーを通じて、「顔が見える」付き合いができることにあるんじゃないかなって思います。
その点、gifteeは面白いですね。自分の知り合いに小さなギフトを送れるサービス。飲食店でのコーヒーやお酒などちょっとしたギフトを送れます。何度か僕もいただいたことがあって、残念ながら地元が都心ではないので、あまり有効活用できてないのですが、もっとエリアが広がると嬉しいですね。誰かからもらうギフトというのは、モノにストーリーがついて、「顔が見える」っていうのの一番わかり易い例だと思います。その上で、購買のためのハードルを極めて低いところに設定しているのがポイントかと思います。ソーシャルやスマホと「カジュアル」であること、というのは親和性が高い。
giftee
楽天やAmazonも勿論便利。僕もスマホからも出先で何か必要なものを思い出すと、使います。ただやっぱり便利なだけじゃつまらない気もしていて、もう少し、ソーシャルコマース、モノとストーリーを通じて、「顔が見える」付き合いが生まれる、ってことができてくればなあと思っています。
本来的にはモノだけじゃなくて情報自体もそう。エディター自体が「顔の見える」執筆ってのはやっぱり面白い気がしていて、それは必ずしも有名人や影響力のある人に限った話ではなくて、ファンであることを「メディア」というばっくりしたものに吸収させてしまうのは勿体ない気がするんです。せっかくこういう時代なんですし。一部の人の顔しか見えない、顔を見せる仕事の人の顔しか見えない、って状態じゃなくて、あらゆる情報にきちんとしたトレーサビリティがついたら、それは野菜の流通と同じような話で、もっと面白くなるんじゃないですかね(野菜のトレーサビリティは、ソーシャル・コマースの「それ」のように機能してないですけど、残念ながら)。その上で、集合体としてのメディアが盛り上がっていけば良い。
このコラムもそんな感じに育てていければ良いなと思っています。