コラム kumamoto

Published on 1月 24th, 2013 | by 加藤 康祐

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アプリと「車窓からの風景」

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特別、鉄道が好きだというわけではないのですが、九州の農家さんの視察に行った折に、九州横断特急という電車で、熊本から阿蘇を越えて大分まで電車に揺られた時の車窓からの風景が印象的でした。九州横断特急というと、新幹線的なものを想像しがちですが、実は3両編成のちょっとレトロなかわいい特急で、阿蘇を超える際にはスイッチバックをする場所もあります(箱根登山鉄道なんかにもありますね)。

さて、過ぎ去りしゆく風景、とても綺麗だったのですが、きっとこの視界には色々面白いものがあって、色々通り過ぎてしまっているのだろうなあ、とも思いました。移動中にスマホの地図アプリを開くと、すごい勢いで自分が移動していて、それが役に立つことはあまりないんですが、面白いものだなと眺めることがあります。

視界ということで言うとAR(拡張現実)が思い浮かびます。日本で一番最初にARアプリとして話題になったのは、やはりセカイカメラでしょうか。僕もリリースされた当時、まだスマホを持っていなかった先輩に見せたところ、「スゴイ、スマホ買う!」となったのを覚えています。すっかり今は使わなくなってしまいましたけど、その後、セカイカメラの開発の元の頓智ドットからはTabというより位置情報と結びついたアプリがリリースされていますね。実は僕も少しですが、ご意見する機会がありまして、思い入れのあるアプリです。

Tab

photo (2)

他にもFoursquareやInstagram、それからFacebookなど地点情報と写真が結びつくことは今や当たり前になりました。スマホにはGPS機能とカメラ機能の両方がありますから、言わば当然の帰結と言えるかも知れません。ただ、「地点」にフォーカスしたものはあっても、あまり前述の車窓からの風景のような、連続する位置情報にフォーカスしたものってまだ一般的に使われていないのかも知れないなと思います。

ちょっとマニアックなアプリですが、GPS-Trk 2というアプリがあります。これはGPSロガーと呼ばれる、例えばアウトドアにハイキングに行った時や、自転車でツーリングに行った時などに、これを携帯していると自分の移動した軌跡(つまり位置情報と時間)を記録してくれるグッズがあり、それをスマホのアプリで実現しているものです。

GPS-Trk 2

photo (3)

今でこそスマホのカメラの解像度は高くなって来ていますが、ついこの間まではお世辞にも画質が良いとは言えず、やはり良い写真を撮るには専用のデジタルカメラが必要でした(最新のデジタルカメラは前述のGPS機能を持つものもあるようですが)。デジタルカメラで写真を撮りつつ、GPS-Trek 2でロギングしておけば、後でパソコンを使って撮影した写真と自分が移動した軌跡の情報をひもづけることができるようになっていました。それをGoogleマップに取り込むと、自分が移動した時に目にした光景と軌跡が、地図上に表示できるようになる、というわけです。

ただ、こんな面倒なことを日常的に行うのはやはり難しいですし、GPS機能の利用はバッテリ消費量も高いそうですから、「連続する位置情報」を有効活用するのはまだまだこれからの話ということにもなりそうです。

ただ、「車窓からの風景」みたいなものにもう少し膨らみを持たせられたら、ちょっと楽しくなる気がします。


About the Author

加藤 康祐

プランナー、加藤 康祐、1980年生まれ。大学在学中の1998年よりデザイン会社にてWEBプランニングやWEBデザインを経験。2005年6月より個人事業、Experience Transportersをスタート。2012年11月、ET Incを設立。クライアントとパートナーとETが「やりたいことを、やりたいように、やり続ける」ための仕組みづくりに取り組む。





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